カビとキノコの違いとは?両者における菌糸の構造とコロニーと組織体という集合体の形成のされ方の違い
「菌類の四つの分類」の記事で書いたように、カビやキノコといった生物の一群が区分される生物学的な分類としての菌類は、大きく分けて、
ツボカビ類(鞭毛菌類)・接合菌類・子嚢菌類・担子菌類と呼ばれる四つのグループへと区分することができると考えられ、
上記の四つのグループのいずれに属する菌類においてもカビと呼ばれる菌類の集まりは形成されることになるのですが、
それに対して、前回書いたように、通常の場合、
キノコと呼ばれる組織体が形成されるのは子嚢菌類と担子菌類という後半の二つのグループのみに限定されると考えられることになります。
それでは、こうしたカビとキノコといった菌類のあり方には、具体的にどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?
カビとキノコの違いとは?菌糸の構造と集合体の形成のされ方の違い
菌類に分類される生物は、多くの場合、
生殖細胞の一種である胞子から発芽したのち、菌糸(きんし)と呼ばれる糸状の形状をした細胞列を形成し、
こうした菌糸と呼ばれる細胞列が互いに分岐と結合を繰り返していくことによって成長していくと考えられることになります。
そして、
こうした菌糸と呼ばれる同質的な構造を持った個々の細胞列が、互いに連携を保ちながら、平面的にまんべんなく広がっていく形で成長していくと、
やがて、人間の肉眼でも見ることができるようなコロニーと呼ばれる一種の細胞集団や群体のようなものを形成することになるのですが、
一般的には、こうした菌類に分類される生物がつくり出す菌糸と呼ばれる細胞列の集団やコロニーのことを指して、カビという言葉が用いられていると考えられることになります。
そして、
こうした菌糸と呼ばれる細胞列の集団が、次の世代の生物体の源となる新たな胞子を形成するために、さらに密に集合して、平面的にだけではなく、立体的にも厚みを持つ形で成長していくと、
やがて、そうした胞子形成という一つの目的に特化した菌糸の集合体からは、傘状や、円盤状、球形や扇形といった様々な形状をした複雑で大規模な構造を持った組織が形成されていくことになります。
そして、一般的には、
こうした胞子形成を目的として複雑な構造へと特化していく形で成長した塊状の組織のことを指して、
生物学的には子実体(しじつたい)、日常的な表現としてはキノコ(茸)という言葉が用いられることになると考えられることになるのです。
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以上のように、
菌類に分類される生物は、基本的に、生殖細胞の一種である胞子から発芽したのちに、菌糸(きんし)と呼ばれる糸状の細胞列を形成していくことになり、
こうした菌糸と呼ばれる個々の細胞列が互いに同質的な状態を保ったまま平面的にまんべんなく広がっていく場合には、カビと呼ばれることになり、
それに対して、
菌糸の集合体が胞子形成という一つの目的のために特化して、より密に集合し、立体的な厚みも持った複雑で大規模な構造へと発展していく場合には、キノコ(子実体)と呼ばれるようになると考えられることになります。
つまり、一言でいうと、
カビとキノコと呼ばれるそれぞれの菌類のあり方の具体的な特徴の違いとしては、
カビの場合は、菌糸の数が増えて、肉眼でもその存在を確認できる状態にまで大きく増殖した場合でも、
それは、一つ一つが同質的な構造を持った個々の菌糸の寄せ集めであるコロニー(群体)を形成するに過ぎないのに対して、
キノコの場合には、そうした菌糸の集まりが胞子形成という一つの目的のために特化して成長していことによって、一つの組織立った集合体を形成するという点に、
両者の具体的な特徴の違いがあると考えられることになるのです。
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次回記事:粘菌とは何か?菌類と動物の能力をあわせ持つ生物としての粘菌と、多数の核を持った一つの細胞から形成される変形体の構造
前回記事:子嚢菌類と担子菌類の違いとは?キノコ(子実体)を形成する菌類の特徴と形状の違いと両者に分類される代表的なキノコの種類
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