ディアウロス走とは何か?ギリシア語の語源に基づく具体的な意味と古代の中距離走としての競技の具体的な特徴

前回の記事で書いたように、紀元前776に行われた古代オリンピックの第1回大会においては、スタディオン走と呼ばれる古代の短距離走にあたる陸上競技が行われていたとされているのですが、

その後、紀元前724に行われた古代オリンピックの第14回大会においては、ディアウロス走と呼ばれる陸上競技新たに導入されていくことになります。

 それでは、こうしたディアウロス走と呼ばれる陸上競技においては、具体的にはどのような形競技が行われていたと考えられることになるのでしょうか?

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古代ギリシア語の語源に基づくディアウロスの意味

そうすると、まず、そもそも、

こうした古代ギリシア語におけるディアウロス(δίαυλοςdiaulosという言葉は、δι-(ディ)δίαυλος(アウロス)という二つの単語が結びつけられていくことによってできた言葉であり、

古代ギリシア語においてδι-(ディ)2を意味する接頭辞であるのに対して、δίαυλος(アウロス)「パイプ」「回路」ことを意味する言葉であると考えられることになります。

つまり、こうした古ギリシア語の語源に基づく意味においては、

そうした古代オリンピックの競技として採用されていたディアウロス走と呼ばれる競技は、2つの回路を走っていく競技、

すなわち、互いに結びつけられた2本の競走路を走り抜けていく速さを競い合う陸上競技のことを意味することになると考えらえることになるのです。

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ディアウロス走の競技の手順と古代オリンピックにおける最初の優勝者

そして、具体的には、

こうしたディアウロス走と呼ばれる陸上競技においては、前回の記事で取り上げたスタディオン走と呼ばれる古代の短距離走において用いられていた直線状の競走路を、スタート地点の反対側に設置されていたとされているポールのような目印を回って往復していくような形で競技が行われていたと考えられることになります。

また、

こうしたスタディオン走ディアウロス走において用いられていた競走路の長さにあたる1スタディオンという距離の長さについては、

ギリシアの諸都市においてかなり大きなばらつきがあり、実際には、150210mくらいまでの様々な値が用いられていたと考えられることになるのですが、

前回も書いたように、古代オリンピックが行われていた古代都市オリンピアでは、競技場の遺跡における検証から、192 mの距離の長さが、そうした1スタディオンにあたる距離として用いられていたと考えられることになります。

したがって、

そうした古代オリンピック競技としてのディアウロス走においては、スタディオン走において選手たちが走っていた距離にあたる192m2、すなわち、384mの距離を走っていくことになっていたと考えられることになるのです。

ちなみに、

こうしたディアウロス走と呼ばれる陸上競技新たに導入されることになった最初の大会にあたる紀元前724に行われた古代オリンピックの第14回大会においては、

古代オリンピックが行われていた都市にあたるオリンピアと同じ、ギリシア南部のペロポネソス半島エリス地方に位置する古代都市であったピーサのヒュペノスという名の選手が最初のディアウロス走の優勝者となったと記録されているのですが、

以上のように、

こうしたディアウロス走と呼ばれる古代オリンピックにおいて行われていたとされる陸上競技具体的な特徴について、一言でまとめると、

前回の記事で取り上げたスタディオン走と呼ばれる競技が、現代の200mに近い古代の短距離走にあたる陸上競技として位置づけられることになるのに対して、

今回の記事で取り上げたディアウロス走と呼ばれる競技は、現代の400mに近い古代の中距離走にあたる陸上競技として位置づけられることになると考えられることになるのです。

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次回記事:ドリコス走とは何か?ギリシア語の語源に基づく具体的な意味とトラック競技よりもマラソンに近い形式としての競技の位置づけ

前回記事:スタディオン走とは何か?古代の短距離走における具体的な競技の手順と古代バビロニアとギリシア神話のスタディオンの由来

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