日食と新月の違いとは？天球上における太陽と月の位置関係の違いのあり方に基づく両者の具体的な特徴の違いのまとめ

前回の記事で書いたように、天球上における太陽と月との位置関係のあり方に基づく日食と新月の関係においては、日食は必ず新月の日に起こることになる一方で、新月の日に必ず日食が起こるとは限らないと考えられることになるのですが、

それでは、こうした日食と新月と呼ばれる二つの天体現象の間には、より具体的にはどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか？

日食と新月における天球上における太陽と月の位置関係の違い

そうすると、まず、上記の図において示したように、

夜空に輝く星々が地球からの観測において配置されていくことなる仮想的な球面にあたる天球上における太陽と月の運動のあり方においては、

太陽の側は、天球上における太陽の通り道にあたる黄道上を約365.24日という周期で反時計回りに移動していくことになるのに対して、

月の側は、天球上における月の通り道にあたる白道上を約27.32日という周期で同じく反時計回りに移動していくことになると考えられ、

さらに、

そうした黄道と白道という天球上における太陽と月の通り道の位置関係においては、天球上における月の通り道にあたる白道は、太陽の通り道にあたる黄道に対して約5.9度傾いた円周軌道を描いていて、

両者は、黄道に対して白道が天の北極の側へと向けて上向きに交差していくことになる昇交点と、天の南極の側へと向けて下向きに交差していくことになる降交点と呼ばれる二つの交点において、互いにまったく同じ天球上の地点を通過することになると考えられることになります。

そして、

こうした地球から観測されることになる天球上における太陽と月の運動のあり方に基づくと、日食と新月のときの天球上における太陽と月の位置関係においては、

通常の新月の場合には、上記の左図において示したように、

太陽と月が地球から見て天球上のほぼ同じ方向に位置づけられることによって、月の表面に当たって反射した太陽の光が月自身の存在によって遮られてしまい地球上にはほとんど届かなくなってしまうと同時に、

地球上に届くわずかな月の光も、地球から見て非常に近い位置にある太陽の強い光によってかき消されてしまうことによって、月の姿は地球からは見ることができなくなってしまうことになるものの、

そうした通常の新月の日においても、天球上における太陽と月の位置関係は、黄道と白道との傾きの差の分だけ離れていることになるため、月の姿によって太陽の姿自体が覆い隠されていくことになる日食の瞬間が訪れることはないと考えられることになります。

そして、それに対して、

日食の場合には、上記の右図において示したように、

天球上において、太陽と月が両方とも黄道と白道の交点にあたる昇交点か降交点かのどちらかの交点付近に位置することによって、

地球からの観測において太陽の姿が月の後ろにぴったりと隠れることにより太陽の姿がまったく見えなくなる日食と呼ばれる天体現象が起こることになると考えられることになります。

そして、

こうした太陽と月が両方とも黄道と白道の交点付近に位置づけられることになる日食の瞬間においては、必然的に、太陽と月は地球から見て天球上のまったく同じ方向へと位置づけられることになるため、

より正確に言えば、

こうした太陽の姿が欠けていって見えなくなる日食が起こる瞬間においては、日食と新月の瞬間が同時に訪れることになると考えられることになるのです。

日食と新月の具体的な特徴の違いのまとめ

そして、

上記の図において示した日食と新月における天球上における太陽と月の位置関係のあり方を実際の宇宙空間における太陽と月と地球の位置関係のあり方にあてはめて考えていくと、

日食の場合には、黄道と白道の交点付近において、地球から見た太陽と月の天球上における位置がぴたりと一致することによって、

実際の宇宙空間においては、太陽と月と地球がこの順番で一直線に並んでいくことになると考えられることになるのですが、

それに対して、

そうした日食の瞬間が訪れることがない通常の新月の場合には、地球から見て太陽と月が天球上のほぼ同じ方向に位置づけられることになるものの、

太陽と月の両者の天球上における位置関係は、厳密な意味においては、黄道と白道との傾きの差の分だけ離れていると考えられることになるため、

実際の宇宙空間においても、日食の場合と同じように太陽と月と地球が一直線に並んでいくことはないと考えられることになります。

そして、以上のように、

こうした日食と新月と呼ばれる二つの天体現象における具体的な特徴の違いについて、一言でまとめると、

新月は、太陽と月が地球から見て天球上のほぼ同じ方向に位置づけられることによって、月の表面に当たって反射した太陽の光が月自身の存在によって遮られてしまい地球上にはほとんど届かなくなってしまうと同時に、

地球上に届くわずかな月の光も、地球から見て非常に近い位置にある太陽の強い光によってかき消されてしまうことによって、地球からの観測において月の姿がほとんど見えなくなってしまう天体現象として定義されることになるのに対して、

日食は、太陽と月が地球から見て天球上における黄道と白道の交点付近のほぼ同じ地点に位置づけられることによって、実際の宇宙空間においては太陽と月と地球がこの順番で一直線に並んでいくことになり、

それによって、地球からの観測において太陽の姿が少しずつ欠けていって見えなくなってしまう天体現象として定義されることになるといった点に、

こうした日食と新月という両者の天体現象における主要な特徴の違いを見いだしていくことができると考えられることになるのです。

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次回記事：日食は一年に何回観測されるのか？部分日食も含めた最大の回数と皆既日食と金環食のみをカウントとした場合の回数

前回記事：日食は必ず新月の日に起こるのに新月の日に必ず日食が起こるとは限らない理由とは？

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