おしべと雄花、めしべと雌花の違いとは?生物学における具体的な定義と雄花や雌花をつける植物の具体的な種類
おしべと雄花、めしべと雌花の違いについて、一言でいうと、
おしべ(雄しべ)とは、花の内部で花粉つくる役割を担う器官の名称であり、
めしべ(雌しべ)とは、花の内部にあって花粉を受粉し、自らの内で種子を育てる役割を担う器官の名称であるのに対して、
雄花とは、上記の二つの器官のうち、雌しべをもたずに雄しべのみをもつ花、
雌花とは、その反対に、雄しべを持たずに雌しべのみをもつ花であると考えられることになります。
それでは、
こうした雄しべと雄花、雌しべと雌花というそれぞれの言葉の生物学的な定義は、より具体的にはいったいどのようなものであり、
雄花や雌花を実際につける植物の種類としては、具体的にどのようなものが挙げられることになるのでしょうか?
生物学における雄しべと雌しべと、雄花と雌花の具体的な定義
まず、生物学的な概念の定義に基づくと、
種から芽を出して、やがて花を形成し、そこから再び種が生じるという、人間が日常的に目にする最も一般的な植物のあり方は、種子植物として定義されることになり、
花とは、そうした種子植物が自らの子孫を残す有性生殖を行う際に形成される器官のことを意味することになります。
そして、
雄しべ(雄蕊)とは、そうした種子植物の花において、花粉をつくる役割を担う葯(やく)と呼ばれる袋状の部分をもつ器官の名称であり、
それに対して、
雌しべ(雌蕊)とは、種子植物の花において、種子の元となる胚珠(はいしゅ)を自らの内に形成し、花粉を受粉することによって種子を育てる役割を担う器官の名称として定義されることになります。
また、
こうした種子植物の花の種類は、その性別的な分類において、両性花と単性花の二種類へと分けられ、
両性花(雌雄同花)の場合は、一つの花の内に、雄しべと雌しべの両方が形成されるのに対して、
単性花(雌雄異花)の場合には、一つの花の内に、雄しべか雌しべかのいずれか一方だけが形成されることになり、
そうした単性花のうち、
雌しべが形成されずに雄しべのみが形成される花が雄花、
それに対して、
雄しべが形成されずに雌しべのみが形成される花が雌花として定義されることになるのです。
雄花や雌花をつける様々な植物の種類と、雌雄異株と雌雄同株の区別
そして、
こうした生物学的な定義に基づくと、雄花や雌花といった単性花をつける植物の具体的な種類としては、主に、
イチョウ(銀杏)やソテツ(蘇鉄)、マツ(松)、スギ(杉)、ヒノキ(檜)、ハンノキ(榛の木)、クワ(桑)、カキ(柿)、クリ(栗)、ホウレンソウ(菠薐草)、キュウリ(胡瓜)、カボチャ(南瓜)
といった木や草の名前が挙げられることになります。
そして、上記に挙げた種子植物のなかでも、
イチョウ、ソテツ、クワ、ホウレンソウといった草木の花は、
雌花のみが咲く木や草と、雄花のみが咲く木や草に分かれる雌雄異株の単性花に、
それに対して、
マツ、スギ、ヒノキ、カキ、クリ、ハンノキ、キュウリ、カボチャといった草木の花は、
雄花と雌花が同一の木や草において咲く雌雄同株の単性花にそれぞれ分類されることになります。
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以上のように、
「雄しべ」と「雌しべ」、そして、「雄花」と「雌花」という四つの言葉は、生物学における具体的な定義としては、
雄しべは、種子植物の花の内部において、花粉をつくる役割を担う葯と呼ばれる袋状の部分をもつ器官、
雌しべは、種子植物の花の内部において、種子の元となる胚珠を自らの内に形成し、花粉を受粉することによって種子を育てる役割を担う器官として定義されることになり、
それに対して、
雄花とは、一つの花の内に雄しべか雌しべかのいずれか一方だけが形成される単性花のうち、雌しべが形成されずに雄しべのみが形成される花、
雌花とは、そうした単性花のうち、雄しべが形成されずに雌しべのみが形成される花として定義されることになります。
つまり、
「雄しべ」と「雌しべ」が、種子植物の花の内部に存在する有性生殖に関わる器官の区別のことを意味する言葉であるのに対して、
「雄花」と「雌花」は、そうした種子植物の花の性別的な分類のうちの一つのにあたる単性花における花自体の雌雄の区別のあり方を意味する言葉であるという点に、
こうした四つの言葉の具体的な意味の違いがあると考えられるということです。
そして、
こうした雄花や雌花をつける植物の具体的な種類としては、
イチョウ、ソテツ、マツ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、クワ、カキ、クリ、ホウレンソウ、キュウリ、カボチャ
といった木や草の名前の種類が挙げられることになるのです。
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次回記事:両性花と単性花の違いとは?両者に分類される植物の具体的な種類の代表例と、被子植物と裸子植物の分類に基づく区別
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