相対性理論において光の到達の遅れが時間の遅れに直結する理由とは?

前々回の記事で書いたように、静止状態にある慣性系Sから光速に近い速度で移動している等速度運動の状態にある慣性系S’内の光の進み方を見た場合、

等速度運動を行っている慣性系S’の速度vが速くなればなるほど、慣性系Sから見た場合の光が進む距離もどんどん長く伸びていくことになります。

そして、通常の物体における運動の場合とは異なり、光の場合には光速度不変の原理が働くことによって光の速度自体は変化しないため、

慣性系Sから見た慣性系S’内の光の進み方は、移動距離が長くなった分光の到達が遅れて観測されることになるのですが、

相対性理論においては、こうした慣性系同士の相対速度の差によって生じる光の到達の遅れ時間自体の伸び、すなわち、時間自体がゆっくりと遅れて進むこととして解釈されることになります。

そこで今回は、相対性理論において生じるこうした光の到達の遅れ時間の遅れに直結する現象として解釈されることになるのか?という問題についてもう少し詳しく掘り下げて考えてみたいと思います。

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地上にいる観測者から見た光速に近い速度で飛ぶ宇宙船内の映画の上映会

まず、上記の異なる等速度運動状態にある慣性系同士における光の進み方の観測のあり方の違いを、観測者における認識のあり方の問題として捉えた場合、

慣性系同士の間で生じる光の到達の遅れは、それを見ている観測者自身の視点においては具体的などのような認識のあり方として捉えられると考えられるのでしょうか?

例えば、

地球のすぐ近くの宇宙空間を光速に近い速度で飛行する宇宙船内で映画の上映会が行われているとして、その宇宙船内の上映会を宇宙船内地上双方から鑑賞するとします。

するとその場合、宇宙船内における光の進み方は、上記の相対性理論の原理に従って、宇宙船内で見る場合よりも、地上から見る場合の方が光の到達が遅れて観測されることになりますが、

映画の上映で流れる映像の一コマ一コマの情報は、光によって伝達されることによって宇宙船内のスクリーンに映し出されることになるので、

そうした宇宙船内のスクリーンに映し出される映像を地上から観測すると、それは宇宙船内で見た場合よりも、一コマ一コマの情報を伝達する一つ一つの光がそれぞれ同じ割合ずつ遅れて到達する分一コマ一コマが間延びした状態で観測されると考えられることになります。

つまり、

地上にいる観測者にとって、上記の光速に近い速度で飛行する宇宙船内のスクリーンに映し出されている映画の映像は、一コマ一コマの間隔が間延びしたスローモーションで再生をしているような映像として観測されると考えられることになるのです。

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相対性理論において光の到達の遅れが時間の遅れに直結する理由とは?

以上のように、

相対性理論において、光速度自体は変わらずに、光の到達だけが遅れて観測されるということは、より正確には、

一つ一つの光がそれぞれ同じ割合ずつ遅れて到達することによって、それぞれの光が伝達する情報が間延びした状態で伝わっていくということを意味することになり、

それは、より具体的には、ある慣性系にいる観測者にとって、別の慣性系の内にある物事の変化がゆっくりと進んで行くスローモーションの状態で観測されるということを意味すると考えられることになります。

そして、

時間の経過」とは、一般的には、物事が過去から未来へと向けて移り変わっていくという物事の変化の認識のあり方のことを意味することになるので、

ある慣性系に位置する観測者が別の慣性系を見たときに、その慣性系の内に存在するあらゆる物事がゆっくりと遅れた状態で観測されるということは、

その慣性系の内においては、観測者自身が位置する慣性系よりも時間自体がゆっくりと進んでいるということをを意味すると考えられることになるのです。

つまり、

相対性理論において、光の到達が遅れて観測されることが時間自体がゆっくりと遅れて進むことに直結する現象として解釈される理由としては、

ある慣性系に位置する観測者が、自分から見て光速に近い速度で等速度運動をしている別の慣性系を観測するときに、

一つ一つの光がそれぞれ同じ割合ずつ遅れて到達しているように観測されることにより、それぞれの光が伝達する情報も間延びした状態で伝わっていくことによって、

その慣性系の内に存在するあらゆる物事がゆっくりとしたスローモーションの状態で観測されることになるということがその理由として挙げられると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:特殊相対性理論における時間の遅れのピタゴラスの定理を用いた計算方法

前回記事:相対性理論における時間の遅れが日常世界において観測できない具体的な理由とは?ボールと列車と光の速度の比較

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