アポトーシスとネクローシスの違いとは?八つの生物学的な特徴に基づく細胞死のプロセスのあり方の相違点

前々回前回の記事では、アポトーシスネクローシスと呼ばれる二つの細胞死のあり方について、それぞれの言葉のギリシア語における語源生物学的な特徴といった観点から詳しく考察してきました。

そこで、今回の記事では、

そうしたアポトーシスネクローシスと呼ばれる二つの細胞死のあり方の具体的な特徴の違いについて改めて考えていきたいと思うのですが、

そうすると、まず、

こうしたアポトーシスネクローシスと呼ばれるそれぞれの細胞死のあり方において、細胞が死へと至るまでのプロセスや流れについてまとめていくと、それは以下のようになります。

アポトーシスとネクローシスにおける細胞死へと至るプロセスの違い

冒頭で挙げた二つの細胞死のあり方のうちの前者であるアポトーシスにおいては、

生物の発生や成長の過程における各段階や、細胞のガン化などの遺伝子異常をきっかけとした内的な要因によって、細胞内に予め組み込まれている秩序立った自発的な細胞死へのプロセスが進展していくことになるのですが、

こうしたアポトーシスが発動した細胞においては、まず、

細胞体の急速な収縮が進んでいくことになり、細胞体の形状も凹凸の少ないのっぺりとした小さな丸い球状の形へと変化していくことになります。

そして、その際、

細胞核の内部においては、核の収縮が進んでいくと同時に、細胞の遺伝情報を担うDNAが染色体の基本構成単位であるヌクレオソームごとに分割されていく形でDNAの秩序立った断片化が進められていくことになるのですが、

その一方で、

ミトコンドリアリソソームといった個々の細胞小器官は断片化や崩壊へと至ることなく基本的には原形を保ったままの状態で細胞質の分割が進められていくことになります。

そして、

こうして分割と凝縮が進んでいった細胞体は、最終的に、断片化した核や個々の細胞小器官を含む内容物がすべて細胞膜によって閉じ込められたまま多数のアポトーシス小胞と呼ばれる小球へと分離していくことによって生命活動を完全に停止することことになり、

その後、こうしたアポトーシス小胞として小分けにされた細胞の遺体は、マクロファージなどの食作用をもつ他の細胞によって回収されることによって、新たに生み出される他の細胞体の材料などとして再利用されていくことになるのです。

・・・

それに対して、後者であるネクローシスにおいては、

外傷火傷細菌感染血流不全などをきっかけとした外的な要因によって、突発的な形で無秩序で受動的な細胞死のプロセスが進展していくことになると考えられるのですが、

ネクローシスの過程へと移行した細胞においては、まず、

外部からダメージを与えられた細胞が代謝不全を起こすことによって、細胞内部に老廃物や不要なタンパク質や脂質などの細胞にとって有害な物質がため込まれていくことになり、それによって細胞全体が膨張していくことになります。

そして、その際、

細胞核の内部においては、核の収縮が進んでいくと同時に、細胞の遺伝情報を担うDNAが細胞核内に存在する酵素の働きによる自己融解作用によって分解されていく形でDNAの無秩序な形での崩壊が進んでいくことになり、

細胞質においては細胞全体の膨張と共に、ミトコンドリアやリソソームといった細胞小器官も膨張していき、膜構造などが弱体化することによって徐々に崩壊へと向かっていくことになります。

そして、最終的には、

細胞内の不要物の増加による細胞内圧の増大と、リソソームなどの細胞小器官から流出した分解酵素による自己融解作用に耐え切れなくなった細胞膜が崩壊することによって、ダムが決壊するような破壊的な形で細胞全体が完全に崩壊してしまうことになり、

そうしたネクローシスによる細胞崩壊の際には、細胞膜の崩壊を通じて、分解酵素を含む細胞内の様々な有害物質が周辺の組織にばらまかれてしまうことによって、細胞周辺に炎症反応が引き起こされてしまうことになると考えられることになるのです。

八つの生物学的な特徴に基づくアポトーシスとネクローシスの違い

そして、

以上のようなアポトーシスネクローシスのそれぞれの細胞死のプロセスにおける生物学的な特徴の違いについてまとめると、

アポトーシスの場合は生物体の発生と成長や遺伝子異常といった内的な要因を主なきっかけとして細胞死が引き起こされるのに対して、ネクローシスは外傷や火傷または細菌感染や血流不全といった外的な要因によって引き起こされる。

アポトーシスが発動した細胞においては細胞全体の収縮が見られるのに対して、ネクローシスにおいては細胞全体が膨張していくことになる。

③どちらの場合にも細胞核においては核の収縮が進んでいくことになるが、その際、アポトーシスにおいてはDNAの秩序立った断片化が進められていくのに対して、ネクローシスにおいては無秩序な形での核溶解と核崩壊が進んでいく。

アポトーシスにおいてはミトコンドリアやリソソームなどの細胞小器官は原形を保ったまま細胞質の分割が進んでいくのに対して、ネクローシスにおいては細胞全体の膨張と共に細胞小器官においても膨張と崩壊が引き起こされる。

アポトーシスの最後には細胞体は多数のアポトーシス小胞と呼ばれる小球へと分割されるのに対して、ネクローシスにおいては細胞膜の崩壊によって内容物が外部へと流出する形で細胞全体が完全に崩壊する。

アポトーシスした細胞は内容物がすべて細胞膜によって閉じ込められたまま静かに生命活動を停止するので周辺に炎症反応が生じることはないが、ネクローシスの場合は細胞膜の崩壊の際に細胞内にため込まれていた分解酵素などの有害物質が周辺の組織にばらまかれてしまうことによって細胞周辺に炎症反応が引き起こされる

アポトーシスした細胞の遺体は他の細胞によって回収されて新しいの細胞の材料などとして有益な形で再利用されていくことになるが、ネクローシスにおいては炎症反応や連鎖的な壊死反応といった有害な反応が引き起こされる。

そして、以上のような観点から、

アポトーシスとは細胞内に予め組み込まれているプログラムに基づいた秩序立った自発的な細胞死のあり方であると考えられるのに対して、ネクローシスは偶発的で受動的な形において生じる無秩序で破壊的な細胞死のあり方であると考えられる。

という以上のような八つの主要となる生物学的な特徴と性質の違いを挙げることができると考えられることになります。

・・・

次回記事:細胞の自殺または安楽死としてのアポトーシスと他殺や事故死としてのネクローシス

初回記事:アポトーシスとは何か?ギリシア語の語源と生物学的な七つの特徴

前回記事:ネクローシスとは何か?ギリシア語の語源と生物学的な六つの特徴

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