ミドリムシが動物と植物の両方に分類される理由とは?菌類とは別の意味で両者の中間にある生物、ユーグレナ植物とは何か?④

このシリーズの初回から前回までの記事で書いてきたように、

ミドリムシに代表されるユーグレナ植物に分類される生物の主要な特徴としては、

葉緑体を持って光合成を行うことができる独立栄養生物であることや、鞭毛と呼ばれる運動性を持った器官を備えていること、

その他にも、感光点眼点と呼ばれる原始的な視覚器官へと通じる器官を備えているといった点などが挙げられることになると考えられることになります。

そして、

こうした比較的特殊な生物としての特徴から、ミドリムシは、その生物学的な分類において、

植物部門においては鞭毛藻類に分類されると同時に、動物部門においては鞭毛虫類に分類されるという植物と動物の両方に分類される生物であると考えられることになるのですが、

それでは、こうしたミドリムシの生物学的な特徴のうち、具体的にはどのような特徴に基づいて、ミドリムシは植物と動物の両方に分類されることになるのか?ということについて、今回はより詳しく考えてみたいと思います。

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ミドリムシが動物か植物の両方に分類される理由とは?一つの植物の定義と二つの動物の定義を同時に満たす生物

まず、

こうしたミドリムシに代表されるユーグレナ植物に分類される生物を定義づける生物学的な特徴についてさらに詳しく列挙していくと、

ミドリムシは、植物細胞と同様に葉緑体を持って光合成を行うことができる独立栄養生物に分類される生物であると同時に、鞭毛と呼ばれる運動性を持った器官も備えていて、

通常の植物細胞に見られるような丈夫な外郭構造である細胞壁は持たずに、動物細胞と同様に細胞膜のみによって細胞が保護される柔軟な構造をしているほか、

感光点と呼ばれる鞭毛の根本にある小点において光の強弱を感じとることができ、また、眼点と呼ばれる細胞上部に存在する赤い目のように見える器官において、そうした感光点に到達する光の方向性の調整が行われているといった点が挙げられると考えられることになります。

そして、その一方で、

植物を定義づける主要な特徴としては、

運動性を持たない(動かない)。
②光合成を行う独立栄養生物である。
細胞壁を持つ(細胞膜と細胞壁を両方とも持つ)。

といった三つの要素が挙げられることになり、

それに対して、

動物を定義づける主要な特徴としては、上記の植物を定義づける三つの要素に対応して、

運動性を持つ(能動的に動き回る)。
②光合成を行わない従属栄養生物である。
細胞壁を持たずに細胞膜のみを持つ。

という三つの要素が挙げられると考えられることになります。

そして、

ミドリムシは、こうした植物と動物の三つの定義のうち、

植物細胞と同様に葉緑体を持ち、光合成を行う独立栄養生物であるという点では、植物の定義を満たす生物であり、

それに対して、

感光点や眼点を用いることによって光の強弱と方向性を捉えたうえで、鞭毛を用いて光源のある方向へと能動的に移動することができるという点や、

植物細胞に見られるような細胞壁は持たずに、動物細胞と同様に、細胞膜のみによって細胞が覆われているという点では、それは、動物の定義を満たす生物であると考えられることになります。

つまり、一言でいうと、

ミドリムシは、こうした植物と動物の一般的な定義のうち、光合成を行う独立栄養生物であるという②の定義については植物の定義を満たすのに対して、

運動性を持つという①の定義と、細胞壁を持たないという③の定義においては、動物の定義を満たす生物であるという点において、

それは、植物と動物の両方に分類されうる両者の中間に位置する生物であると考えられることになるのです。

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菌類とは対称的な意味において動物と植物の中間に位置する生物

ちなみに、

以前にキノコは植物なのか動物なのか?の記事などでも詳しく考察したように、そうした動物と生物の中間に位置する生物としては、

今回取り上げたミドリムシやユーグレナ植物のような鞭毛藻類や鞭毛虫類の一種に分類される生物の他に、

キノコやカビといった菌類に分類される生物の存在も挙げられることになると考えられることになりますが、

菌類の場合、上記の動物と植物の三つの一般的な定義に基づくと、それは、運動器官を持たずに同じ場所にとどまったまま生活を営んでいて、菌糸を構成するすべての細胞が丈夫な細胞壁によって覆われているといった点では植物の定義を満たすものの、

光合成は行わずに、他の動植物の遺体や、生きた木々に寄生または共生することによって生きている従属栄養生物であるという点では、むしろ動物の定義を満たす生物であると考えられることになります。

つまり、

菌類は、運動性を持たず細胞壁を持つという上記の①と③の定義においては植物の定義を満たし、光合成を行わないという②の定義においては動物の定義を満たすという意味において、動物と植物の両方に分類されうる生物であると考えられるのに対して、

ミドリムシは、運動性を持ち、細胞壁を持たないという上記の①と③の定義においては動物の定義を満たし、光合成を行うという②の定義においては植物の定義を満たすというという意味において、動物と植物の両方に分類されることになるというように、

菌類とミドリムシにおける植物と動物の定義の満たし方は、ちょうど対称的な関係となっていて、

つまり、そういう意味では、

ミドリムシは、菌類とは対称的なまた別の意味において動物と植物の中間に位置する生物であると捉えられることになると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:灰色植物とは何か?①灰色藻が灰色ではなく青緑色をしている理由とは?、藻類とは何か?⑪

前回記事:ミドリムシやユーグレナ植物の赤い目のように見える眼点の正体とその特殊な機能とは?ユーグレナ植物とは何か?③

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