一般的な植物(種子植物)とシダ植物やコケ植物との違いとは?両者を区別する三つの大きな相違点となる具体的な特徴

バラや、キク、ユリ、コスモス、チューリップ、アサガオ、ヒマワリ、タンポポ、アブラナといった草花や、

イネ、コムギ、トマト、ナス、キュウリ、ジャガイモ、タマネギといった作物

あるいは、サクラや、イチョウ、マツ、スギ、ヒノキなどの木々といった

人間が日常的に目にする一般的な植物は、種から芽を出して花をつける種子植物に分類されることになるのですが、

陸上に生育する植物には、こうした種子植物以外の種類に分類される植物の種族も数多く存在し、

そうした種子植物以外に分類される陸上植物の種類としては、ワラビやゼンマイなどのシダ植物や、ゼニゴケやスギゴケなどのコケ植物といった植物の分類が挙げられることになります。

それでは、こうしたシダ植物やコケ植物と呼ばれる植物の系統と、一般的な植物の種類である種子植物との間には、具体的にどのような特徴の違いがあると考えられることになるのでしょうか?

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種子植物とシダ植物やコケ植物の具体的な特徴の違いとは?

まず、

種子植物に分類される植物と、シダ植物やコケ植物に分類される植物を区別する第一の特徴としては、

種子植物は、種から芽を出し、根や茎を上下に伸ばして成長していくと、やがて、花びらや雌しべ、雄しべなどから成る花を形成するのに対して、

シダ植物やコケ植物においては、花が形成されることがないという点が挙げられることになります。

また、

種子植物においては、花の内に形成される雌しべと雄しべの間で受粉が行われることによって、雌しべの内にある胚珠から種子が形成され、そうした種子が発芽することによって次世代の植物体が繁殖していくことになるのですが、

シダ植物やコケ植物においては、次世代の個体の繁殖は、種子ではなく、無性生殖によって形成される胞子によって行われるという点も両者を区別する大きな相違点として挙げられることになります。

種子植物とシダ植物やコケ植物における生活環の違い

そして、

こうした植物などの生物において、種子や胞子が形成される生殖細胞の段階から、成体への成長を経て、次世代の個体を生み出して再び元の生殖細胞の段階へと戻ってくるまでのサイクルのことを指して生活環という言葉が用いられることになるのですが、

種子植物の生活環は、上述したように、

一粒の種から芽を出した植物体が根や茎を上下に伸ばして成体へと成長し、やがて、その上部につぼみを形成すると、そこから花を咲かせることによって雌しべと雄しべとの間で受粉が行われ、最後に、花の中の雌しべの内にある胚珠から種子が生じることによって、元と同じ種子の段階へと戻ってくるというように、

一つのサイクルの内で完結していると考えられることになるのですが、

それに対して、

シダ植物やコケ植物の生活環は、

一つの胞子から発芽した植物体は、まず、原糸体と呼ばれる糸状の配偶体へと成長していき、その後、さらに発達していった配偶体の内に、種子植物の雌しべと雄しべに相当する造卵器と造精器が形成されることによって受精卵が生じることになるのですが、

こうして生じた受精卵が直接、胞子の段階へと結びつくことによってシダ植物やコケ植物の生活環が完結するわけではなく、

配偶体によって形成された受精卵からは、今度は、胞子体と呼ばれる新たな形態の植物体が成長していき、そうした胞子体にある胞子のうの内部に無性生殖によって胞子が形成され、胞子が成熟すると胞子のうが破れて中に入っていた胞子が空中へと弾け飛ぶことによって、元と同じ胞子の段階へと戻ってくることになります。

つまり、

種子植物の生活環においては、種子から発芽した植物体が成長して花をつけ、花の内に形成される雌しべと雄しべの受粉による有性生殖によって次世代の種子が生じるという

一つの有性世代のみで完結したサイクルが営まれているのに対して、

シダ植物やコケ植物の生活環の場合には、胞子から発芽した植物体が配偶体へと成長すると、配偶体の内に形成される造卵器と造精器による有性生殖からは、まずは、胞子ではなく受精卵が生じ、

そうした受精卵から新たに生じた植物体が胞子体へと成長し、胞子体の内に無性生殖によって次世代の胞子が形成されるというように、

造卵器と造精器による有性生殖を行う配偶体における有性世代と、胞子のうの内に無性生殖によって胞子を形成する胞子体における無性世代という二つの異なる世代が順番に交代していくという二世代のサイクルに分かれる形で生活環が営まれていると捉えられることになります。

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以上のように、

人間が日常的に目にする一般的な植物の種類である種子植物と、シダ植物やコケ植物といったその他の陸上植物との間の具体的な特徴の違いとしては、

種子植物においては花が形成されるのに対して、シダ植物やコケ植物においては花は形成されない

種子植物種子によって繁殖するのに対して、シダ植物やコケ植物胞子によって繁殖する。

種子植物の生活環は、種子から芽を出し、花を咲かせて受粉を行い、その花の中の雌しべの内に再び種子の元が形成されるという一世代のサイクルで完結するのに対して、

シダ植物やコケ植物の生活環は、無性生殖によって胞子を形成する胞子体における無性世代と、有性生殖によって受精卵を形成する配偶体における有性世代という二世代のサイクルに分かれている。

といった全部で三つの大きな相違点となる特徴を挙げることができると考えられることになります。

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次回記事:シダ植物とコケ植物の違いとは?両者を区別する五つの具体的な特徴と、それぞれに分類される植物の代表的な種類

前回記事:被子植物と裸子植物の違いとは?両者を区別する五つの具体的な特徴と、それぞれに分類される植物の代表的な種類

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