プラトンの『国家』における魂の三部分説と国家の三つの機能との対応関係、プラトンの魂の三部分説①

紀元前4世紀古代ギリシアの哲学者であるプラトンの主著の一つである『国家』においては、

人間の魂には、知性的部分気概的部分欲望的部分と呼ばれる三つの区分があるとする魂の三部分説が説かれています。

そして、こうした知性的部分と気概的部分と欲望的部分という魂の三つの区分のそれぞれは、行政や国防や経済活動といった国家における三つの機能との対応関係によって説明されることになるのですが、

そうした魂における三つの区分と、国家における三つの機能は、具体的にどのような形で結びついていくと考えられることになるのでしょうか?

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魂の三部分説と国家の三つの機能との対応関係

プラトンの中期対話篇に分類される著作である国家』の第四巻においては、人間の魂には知性的部分気概的部分欲望的部分と呼ばれる三つの区分があるとされたうえで、

そうした魂の三部分には、行政と統治国防と治安経済活動という国家における三つの機能が対応していると説明されることになります。

つまり、

人間の魂における知性的部分には国家における行政と統治の機能が、気概的部分には軍隊や警察による国防と治安維持の機能が、欲望的部分には国家の内において営まれる生産活動や商業活動といった様々な経済活動が対応していると考えられるということです。

そして、

国家において、豊かで安全なより善い国づくりを成し遂げるためには、

優れた知恵をもつ統治者によって国が正しく導かれたうえで、勇気を持った軍人や警察官の手によってその国が守られ、節度をもった一般市民による適切な生産活動や商業活動が営まれていくことが必要であるのと同じように、

人間の魂においても、良好な精神状態が維持されるためには、

知性的部分における知恵の働きと、気概的部分における勇気の働き、そして、欲望的部分における節制という三つのアレテーがそれぞれの部分において適切な形で機能していることが必要であり、

そうした魂の各部分における知恵と勇気と節制という三つの徳の働きの調和によって、人間が善く生きることが可能となると考えられることになるのです。

そして、以上のことをまとめると、プラトンの『国家』における魂の三部分説の議論においては、

下図で示したような、魂の三部分と、それぞれの部分における三つの徳、そして、それぞれの徳のあり方に対応する国家の三つの機能という三者同士の対応関係が成立していると考えられることになります。

プラトンの『国家』における魂の三部分と国家の三つの機能との対応関係

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以上のように、

プラトンの『国家』第四巻において語られている魂の三部分説における知性的部分気概的部分欲望的部分という魂の三部分のそれぞれには、

知恵勇気節制という三つの徳と、行政と統治国防と治安経済活動という国家の三つの機能が対応していると考えられ、

こうした魂と徳と国家という三者の間の対応関係において、プラトンの『国家』における魂の三部分説の議論全体が成立していると考えられることになります。

そして、

プラトンの思想の中で、魂の三部分説について言及されている箇所には、今回取り上げた『国家』における記述の他に、『パイドロス』における記述も挙げられることになるのですが、

こうした『パイドロス』の方の記述においては、有翼の御者二頭立ての馬車という新たな比喩が用いられていく形で、『国家』の方とはまた少し異なった角度から魂の三部分説についての議論が展開されていくことになるのです。

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次回記事:プラトンの『パイドロス』における魂の三段階の階層構造と二頭立ての馬車の比喩、プラトンの魂の三部分説②

関連記事:主知主義・主意主義・主情主義という三つの倫理思想とプラトンの魂の三分説との関係とは?

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