誤嚥による事故と交通事故ではどちらが危険なの?蒟蒻ゼリー考①

食べ物の誤嚥(ごえん・食べ物などを誤って飲み込んでしまうこと)による窒息事故というと、
のほかには、一時期、世間で大きく取り上げられた、蒟蒻(こんにゃく)ゼリー騒動のイメージが強い人もいるかと思います。

しかし、誤嚥による窒息事故は、蒟蒻ゼリーよりも餅の方が多いのだから、
蒟蒻ゼリーだけをバッシングするのはよくない、という意見もあります。

実際のところは、どうなんでしょうか?

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そこで、今回は、誤嚥による事故死について、
蒟蒻ゼリーが本当に危険な食べのものなのか、ということも含め、
客観的データに基づいて検証していきたいと思います。

誤嚥と蒟蒻ゼリーについてどのような検証をするの?

誤嚥による窒息事故が問題となり、蒟蒻ゼリーが槍玉に挙げられた当初(2008年頃)は、
この問題がメディアや国会でも大きく取り上げられ、
蒟蒻ゼリーに対して、全国的なバッシングが相次ぎました。

ついには、行政指導が入ることになり、
蒟蒻ゼリーを製造していた大手の会社が一時、生産停止にまで追い込まれる事態になりました。

そのようなわけで、今でも、蒟蒻ゼリーのパッケージには
小さなお子様や高齢者の方は絶対にたべないでください」と記載されています。

しかし、その一方で、先にも述べたように、
実際の誤嚥による窒息事故は、蒟蒻ゼリーよりも餅の方が多い、という事実があり、
蒟蒻ゼリーだけをバッシングするのは不公平だ、という意見も確かにあります。

そこで、今回は、シリーズ「蒟蒻ゼリー考」と銘打って、

① そもそも誤嚥による窒息事故自体は、交通事故などの他の事故と比較してどれだけ危険なものなのか?

② 餅やパン、飴などの他の食品と比べた場合、一般的に蒟蒻ゼリーはどのくらい喉に詰まりやすいといえるのか?

③ 年齢層によって、一般的な食品と蒟蒻ゼリーとで誤嚥事故の引き起こしやすさに違いはあるのか?

ということについて、数値的・客観的データに基づいて検証していきたいと思います。

事故死亡者数と、食物の誤嚥による死亡者数の推移は?

それではまず、そもそも、お餅にしろ、蒟蒻ゼリーにしろ、
食べ物の誤嚥事故自体がどのくらい危険なものなのか、数値的・客観的データから見ていきましょう。

厚生労働省による人口動態調査によると、
ここ20年間の事故死亡者総数と、そのうちの食物の誤嚥による窒息事故の死亡者数の推移は、以下のようになっています。

1995年~2014年の事故死亡者総数と食物の誤嚥による窒息事故の死亡者数

そして、このデータをグラフ化すると次のようになります。

1995年~2014年の事故死亡者総数と食物の誤嚥による窒息事故の死亡者数の推移のグラフ

※ なお、このグラフを見ていると、1995年と2011年の事故死者数がピョコンと突出して高くなっていることに気がつきますが、これはそれぞれの年に発生した阪神淡路大震災(1月)、東日本大震災(3月)の影響が大きかったからと考えられます。

今回の記事内容とは直接関係はありませんが、改めて、先の震災による被害の凄まじさが、こうした統計データにも明らかな影響を与えるほどであったことがわかります。

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食べ物の誤嚥と交通事故の危険性を比較してみると?

話をもとに戻しますと、このグラフを見れば明らかな通り、
毎年だいたい4000人から5000人もの人が食べ物の誤嚥事故で命を落としていることがわかります。

これがどのくらい多い人数かというと、
例えば、2014年の交通事故の死亡者数は、
警察発表では4113人厚生労働省による人口動態調査の発表では5717人となっています。

※ ちなみに、発表された死亡者の人数が、警察発表と厚生労働省の発表で大きく違うのは、
警察発表では事故発生から24時間以内に死亡した人のみを交通事故による死亡者としてカウントするのに対して、
厚生労働省の発表では事故発生から30日以内に亡くなった人までを交通事故による死亡者としてカウントしているからです。

つまり、現在の社会状況では、
1年間に交通事故で亡くなる人の数は、だいたい4000人から6000人くらいと考えられるということです。

すると、
食べ物の誤嚥事故で亡くなる人の数も、一年間に4000人から5000人くらいということですから、
交通事故で亡くなる人の数に匹敵する人数が、食べ物の誤嚥事故で亡くなっているということになります。

つまり、日本国内の場合、
交通事故で死ぬ確率と、食べ物を喉に詰まらせて死んでしまう確率はほぼ同じ。
つまり、交通事故と食べ物の誤嚥は同じくらい危険だ、ということになります。

たかが食べ物の食べ方と侮らずに、
道路を歩くときに、右見て、左見て、交通事故に遭わないように注意するのと同じくらいの細心の注意をはらって、
普段の食事の時から、食べ物の食べ方にも気をつけていなければならない、ということですね。

まとめ

今回は、シリーズ「蒟蒻ゼリー考」の①として、
そもそも誤嚥による窒息事故自体は、交通事故などの他の事故と比較してどれだけ危険なものなのか? ということについて、検証しました。

厚生労働省による人口動態調査によると、毎年4000人から5000人もの人が食べ物の誤嚥事故で命を落としています。

1年間の交通事故による死亡者数は、毎年4000人から6000人くらいですから、
日本国内の場合、交通事故で死ぬ確率と、食べ物を喉に詰まらせて死んでしまう確率はほぼ同じだ、ということになります。

次回「蒟蒻ゼリー考②」は?

次回の「蒟蒻ゼリー考②」は、
餅やパン、飴などの他の食品と比べた場合、蒟蒻ゼリーはどのくらい喉に詰まりやすいといえるのか? について、
具体的、客観的なデータに基づいて検証していきたいと思います。

 

シリーズ「蒟蒻ゼリー考」 INDEX
① 誤嚥による事故と交通事故ではどちらが危険なの?
② 蒟蒻ゼリーは本当に他の食品よりも窒息事故を起こしやすいの?
③ 蒟蒻ゼリーは子供にとっては危険な食べ物なの?

 

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