ロムルスとレムスの聖都アルバ・ロンガ奪還、古代ローマ建国史③

トロイアの英雄アエネアスAeneas)の長子である
アスカニウスAscanius、ギリシア語ではアスカニオス(Askanios))の
出生については、

アエネアスと
ラテン人の王女ラヴィニアの実子であるという説と

アエネアスが祖国トロイアにいた時代にすでに別の妻がいて
アスカニウスはそのトロイア人の前妻との間の子である
という二つの説があり、定かではないのですが、

いずれにせよ、

アエネアスの死後にその王位を継いだ
長子アスカニウスは、

ラヴィニウムの都から少し南東に離れたアルバヌス湖のほとりに
新たな都市アルバ・ロンガAlba Longa)を建設することになります。

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聖都アルバ・ロンガとシルウィウス家の繁栄

そして、

アエネアスの長子アスカニウスの死後、
ラテン人の王位は次男のシルウィウスSilvius)が
継承することになるのですが、

シルウィウスは、
兄アスカニオスが建設した
都市アルバ・ロンガを正式なラテン人の都とし、

その地に定住して、
周辺のラテン人諸都市を統治するようになります。

アルバ・ロンガの背後にそびえる
アルバヌス山(現在のイタリアのカーヴォ山)の山頂には

シルウィウスの母ラヴィニアの父である
ラテン人の王ラティヌスが神格化された

ユピテル・ラティアリス神Jupiter Latiaris
を守護神とする神殿が築かれ、

毎年、周辺都市の長を
この地に集めて盛大な祭典を行うようになり、

アルバ・ロンガは、ただの政治的な都ではなく、
ラテン人の宗教的中心地としても栄えていくことになります。

トロイアの英雄アエネアスを父として、
ラテン人の王女ラヴィニアを母とする
シルウィウスは、

自らの祖父にあたるラティヌス王を神格化し、
自分自身をも神の血統を引く王として位置づけることによって、

聖都アルバ・ロンガから神聖統治を行う
絶大な宗教的権威を有する王として、
ラテン人全体を統治することとなるのです。

そして、ここにおいて、

トロイア人ラテン人が結びついた王家である
シルウィウス家が誕生し、

以降は、
アエネアスラヴィニアの血を引き継ぐ
シルウィウス王家の人々が
ラテン人の王の座を継承していくことになり、

彼らは、代々、アルバ・ロンガを都として
その地から統治をおこなったので、
アルバ王とも呼ばれるようになっていきます。

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暴君アムリウスと双子の兄弟によるアルバ・ロンガの奪還

そして、

聖都アルバ・ロンガに居を置く
シルウィウス王家の人々によるラテン人の統治は、
以降十数代にわたって長く続いていくことになるのですが、

シルウィウスから数えて13代目の
アルバ王ヌミトルの時代に、

王の座を狙う弟のアムリウス
兄王ヌミトルの王位を簒奪し、

その後継者であるヌミトルの息子たちも
すべて根絶やしにしてしまいます。

ヌミトルの娘であるレア・シルヴィアRhea Silvia、ラテン語読みではレア・シルウィア)は、命だけは助けられたものの、

女神ウェスタVesta、ギリシア神話におけるヘスティアと同一視されるかまどの神で、その神殿の内部には、永遠に燃え続ける炎が祀られていて、火を絶やすことがないように巫女たちによって守られている)に仕える巫女として
神殿の中に幽閉されてしまうのですが、

あるとき、そのシルヴィアのもとを
軍神マルスMars)が訪れ、
彼女は、双子の男の子を身ごもることになります。

このことを知って、激怒したアルバ王アムリウスは、
配下の兵士に生まれたばかりの双子の赤子を殺すように命じると、

シルヴィアを怒りに任せて
ティベル川へと投げ落としてしまいますが、

ことの顛末を見て哀れに思った川の神ティベリヌスが彼女を救い上げ、
シルヴィアはその後もティベリヌスのもとで
我が子の成長を見守り続けることができたとも言われています。

そして、一方の

シルヴィアが産み落とした双子の赤子の方も、
赤子を直接手にかけて殺すのはためらわれた兵士によって
籠に入れられてティベル川へと流され、

後に、その地にローマの都が築かれることになる
パラティヌスの丘の上に流れ着くことになります。

そこに一匹の牝狼がやってきて、
双子は、狼の乳によって強く逞しく育てられますが、

しばらくして、その地を通りかかった牧人ファウストゥルスによって
人間の家に連れ帰られることとなり、

双子の兄弟は、それぞれ、
ロムルスRomulus)とレムスRemus)と名付けられます。

そして、

成長していくなかで、自分たちの出生の秘密と
叔父であるアルバ王アムリウスの邪悪で残酷な仕打ちを知った兄弟は、

母の仇であるアムリウスに対する復讐と、
聖都アルバ・ロンガの奪還を互いの心に堅く誓います。

そののち、二人は、
仲間を率いて都へと攻め上り、

アムリウス王を倒して、
自らの手にアルバ・ロンガを取り戻すこととなり、

ここにおいて、ついに、

聖都アルバ・ロンガは、
邪悪な王アムリウスの支配から解放され、

神聖なる王位が正統な継承者であるロムルスとレムスの兄弟へと
新たに受け継ぎ直されることとなったのです。

・・・

このシリーズの前回記事:
トロイアの英雄アエネアスとラテン人の王女ラヴィニアの婚姻、古代ローマ建国史②

このシリーズの次回記事:
ロムルスの弟殺しと七つの丘の上の建国、古代ローマ建国史④

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