ドイツ語の早口言葉③ ドイツ語はZではじまる単語の数が多い?

今回紹介するドイツ語Zungenbrecher早口言葉)はこれです。

Am Zehnten Zehnten um zehn Uhr zehn
zogen zehn zahme Ziegen zehn Zentner Zucker zum Zoo.

なんだか、“Zではじまる単語ばかりが並んでいますね。

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ドイツ語でZではじまる単語の数は?

そういえば、
英語で“Zではじまる単語というと、すぐに思いつくのは、
zero(零)”とか、“zone(地帯)”、“zoo(動物園)”などくらいで、
とにかく少ないイメージがありますが、

ドイツ語では、重要単語だけアルファベット順に数え上げても、
Zahl(数)”、“zahlen(支払う)”、“zählen(数える)”、“zahm(従順な)”、
Zahn(歯)”、“Zank(口論)”、“zart(華奢な)”、“zärtlich(優しい)”…など、
名詞も動詞も形容詞も、とにかくいくらでもあって、枚挙にいとまがありません。

実際に、手元にあった英和辞典では、全2273ページ中
語頭が“Zではじまる単語のページ数はわずか4ぺージ

だったのに対し、

独和辞典では、全2823ページ中
語頭が“Zではじまる単語のページ数は93ぺージもありました。

この辞典には、だいたい1ページあたり20~30語くらいの単語が載っているので、
この独和辞典の場合、だいたい2300語程度の単語がZからはじまる単語として載っていることになります。

割合に直すと、

英語では、全単語中、Zではじまる単語の割合は、0.18%なのに対して、

ドイツ語では、全単語中、Zではじまる単語の割合は、3.29%もあるということになります。

つまり、
ドイツ語では、英語の18倍くらいZではじまる単語が多いということです。

では、なぜそんなに、ドイツ語ではZではじまる単語が多いのかというと、

例えば、
英語の“timeイム、時間)”が、
ドイツ語では“Zeitァイトゥ、時間)”になるように、

単語の中で、
ドイツ語の“Zェットゥ)”は、英語の“Tィー)”と同じような発音と働きを担うことが多いことが理由として挙げられるでしょう。

もっとも、
英語の“teaィー、お茶)”は、
ドイツ語でも“Teeー、お茶)”というように、

英語の“T”がドイツ語でも“T”のままということもかなり多いのですが、
それでも、一部の単語で英語の“T”が、ドイツ語の単語では“Z”に変化しているのは確かなので、その分、

ドイツ語の辞書では、英語の辞書に比べて、
Tで始まる単語の項目部分が、少し薄くなっていたりします。

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10番目の月の10番目の日の早口言葉

話を、今回の早口言葉の読解の方に戻しまして、

先ほどのドイツ語原文の下に、発音アクセントを示すと以下のようになります。

Am   Zehnten    Zehnten    um   zehn   Uhr  zehn
ム ェーンテン ェーンテン / ム ェーン ア ェーン /

 zogen   zehn   zahme   Ziegen
ォーゲン / ェーン ァーメ ィーゲン /

 zehn    Zentner    Zucker  zum  Zoo.
ェーン ェントゥナー ッカー / ツム ォー

次に文節ごとの和訳をドイツ語の下に入れてみましょう。

Am Zehnten  Zehnten   um zehn Uhr zehn
10番目の日に 10番目の月の 10時10分に

  zogen  zehn     zahme    Ziegen
引いて行った 10頭の 飼い慣らされた ヤギたちが

zehn  Zentner   Zucker zum Zoo.
10 ツェントナーの 砂糖を  動物園へ

全体を直訳すると、
10月10日の10時10分に、10頭の飼い慣らされたヤギが、10ツェントナーの砂糖を動物園に引いて行った
となります。

Zentner(ツェントナー)というのは、ドイツ語圏で使われる重さの単位で、
ドイツ本国では、50キログラム
オーストリアスイスでは、100キログラムに当たります。

このZoo(動物園)がベルリンにあるのか、それともウィーンやチューリヒにあるのか分からないので、ヤギたちが曳いている砂糖の重さが全部で500キロなのか、それとも1トンなのかは分からないわけですが、

いずれにせよ、10ツェントナーの重さであることは確かです。

次に、この文の文法的構造を見ていきましょう。

ただし、主格=主語対格=目的語属格=所有・所属関係という意味です。

Am Zehnten※  Zehnten   um zehn Uhr zehn
<前置詞+名詞  ←属格 >  <前置詞  +名詞>
10番目の日に 10番目の月の   10時10分に

  zogen       zehn zahme    Ziegen
動詞       形容詞→     主格
引いて行った 10頭の飼い慣らされた ヤギたちが

zehn Zentner  Zucker  zum Zoo.
形容詞→    対格 <前置詞+名詞>
10ツェントナーの 砂糖を  動物園へ

ドイツ語で「10番目」という序数は、“zehnt”で、
序数は基本的に形容詞として扱われるのですが、
名詞化して用いることも可能なので、

この場合は、“Zehnt”と語頭を大文字にして名詞化したうえで、
語尾の“-en”が付いた形になっていると考えられます。

また、辞書では“Zehnt”「十分の一税(中世ヨーロッパで教会が教区の農民たちから収穫物の10分の1を徴収した税)」という名詞もありますが、
この意味でとると、
Am Zehnten Zehnten”は「十分の一税の十分の一税の際に」となってしまい、
おそらく意味が通らなくなってしまうでしょう。

このZungenbrecher早口言葉)を、例によって、少し謎かけ言葉っぽく意訳してみると次のようになるでしょうか。

「毎年10番目の月の10番目の日、10時10分になると、
従順な10頭の山羊たちが現れて、10ツェントナーの砂糖の塊を、
動物園へと曳いて行ったとさ。」

あまり大きくは変わっていないわけですが、
「10頭の飼い慣らされたヤギ」の部分を「従順な10頭の山羊たち」としたことで、日本語での発音が、文頭から、
「10番目の月」「10番目の日」「10時」「10分」「従順な」「10頭の」「10ツェントナー」という具合に、「じ」「じ」「じ」…と「じ」が7つ続くようにしてみたところがみそです。

・典拠
German Tongue Twisters Zungenbrecher
(ドイツ語原文のZungenbrecher(早口言葉)の参照元)

・・・

このシリーズの前回記事:
ドイツ語の早口言葉② ウルムの町とデカルトの炉部屋

このシリーズの次回記事:
ドイツ語の早口言葉④ ドイツ版「東京特許許可局」と複合名詞

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