ドイツ語の早口言葉の紹介とその文法的構造①「漁師のフリッツェ」

ドイツ語で「早口言葉」は、”Zungenbrecher(ツンゲンブレヒャー)”と言います。

Zungenbrecherというのは、
Zunge(舌)とBrecherの複合名詞なのですが、

これを、そのまま英語に逐語訳すると、

tongue breaker”または、”tongue crusher“となるので、

舌の破砕機」とか「舌の破壊者」という意味になってしまいます。

なぜ、そんなおっかない言葉が「早口言葉」と同じ意味になるかというと、

舌がぶっ壊れてしまいそうな、あるいは、舌を噛んでしまいそうなほど
発音や文構造が入り組んでいて複雑な言葉なので、

それを実際に音読したり理解したりするのは難しいという意味で、早口言葉という意味になるということですが、

Brecher(破砕機、削岩機)というと、かなり強い語感があり、
ただ舌を噛むだけではすまずに、
読み間違えると、勢い余って舌を噛み切ってしまうとか、
音読していた人が木っ端みじんに粉砕されるー、
といった方向にイメージが膨れ上がってしまいそうなので、

意味を理解したうえでも、何となく、恐ろしくて荒々しい印象が残る表現であることは否めないかもしれません。

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早口言葉「漁師のフリッツェ」の発音・アクセントと和訳は?

それはともかく、
今回はドイツ語の早口言葉紹介の初回なので、まずは肩慣らしならぬ、舌慣らしに、

代表的で一般的なドイツ語のZungenbrecher(早口言葉)について、
さっそく、簡単に見ていきましょう。

まずは、おそらく、ドイツ語の早口言葉では一番有名で一般的な、
漁師のフリッツェの早口言葉です。

ドイツ語原文をそのまま載せると以下の通りです。

Fischers Fritze fischt frische Fische;
Frische Fische fischt Fischers Fritze.

このドイツ語原文の下に、発音アクセントをつけると以下のようになります。

ただし、カタカナの太字になっている部分は、その部分にアクセントを置いて読むという意味です。

 Fischers   Fritze     fischt    frische   Fische;
ィッシャス フッツェ ィシュトゥ フッシェ ィッシェ

 Frische   Fische    fischt     Fischers    Fritze.
ッシェ ィッシェ ィシュトゥ ィッシャス フッツェ

それでは、この文はどういう意味かということですが、
とりあえず、ドイツ語原文の下に、単語ごとの和訳を入れてみましょう。

Fischers  Fritze    fischt    frische   Fische;
漁師の  フリッツェは  釣る    新鮮な    魚たちを

Frische   Fische   fischt   Fischers   Fritze.
新鮮な    魚たちを    釣る      漁師の   フリッツェは

ちなみに、一行目の“Fischers Fritze fischt frische Fische;”の最後にある
」(セミコロン)は、この場合は、等位接続詞und(英語でいうand)の代わりに置いてあると考えればいいと思います。

そして、この文の全体を直訳すると、
漁師のフリッツェは新鮮な魚を釣って、新鮮な魚を漁師のフリッツは釣る
となります。

文法的にはあまり正確ではないのですが、ちょっと、
日本語の早口言葉の雰囲気で意訳してみると、以下のようになるでしょうか。

漁師のフリッツェが新鮮な魚を釣るってことは、
新鮮な魚は漁師のフリッツェに釣られるってことなのさ

なんだか、早口言葉というより、謎かけ言葉や言葉遊びのような、感じになりますね。

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早口言葉「漁師のフリッツェ」の文法的構造は?

それでは次に、この文の文法的構造についても少し考えてみましょう。

ドイツ語では、格支配と言って、
文中の各名詞の語尾を変化させることで、

その単語が文中での働きとして、
主格(主語、~は、~が)になるのか、
属格(所有・所属関係、~の)になるのか、
与格(間接目的語、~に)になるのか、それとも
対格(直接目的語、~を)になるのかということを、

語順関係に依存せずに明示することができるので、
語順をかなり自由に入れ替えることができます。

この辺の文法感覚は、英語やフランス語系の文法より、むしろ、
日本語の文法感覚に近いところがあると言えるかもしれません。

それでは、そこら辺のところを、実際に、先ほどの「漁師のフリッツェ」の早口言葉の文で確かめてみましょう。

「漁師のフリッツェ」のドイツ語原文と、単語ごとにつけた和訳の間に、主格(主語)や対格(目的語)といった文法関係を入れて示すと以下のようになります。

Fischers  Fritze    fischt  frische   Fische;
属格→   主格     動詞  形容詞→  対格
漁師 フリッツェ   釣る    新鮮な    魚たち

Frische  Fische   fischt  Fischers  Fritze.
形容詞→  対格    動詞    属格→    主格
新鮮な   魚たち    釣る   漁師 フリッツェ

ただし、「属格」や「形容詞」の後に入れた「→」は、
「→」の前の単語が「→」の後の単語を修飾している(説明している)という意味です。

太字で示した主格(主語)と動詞対格(目的語)の位置関係を見ればわかる通り、

属格や形容詞などの修飾語を取り払った、文の基本構造に注目したときに、

セミコロン(;)の前の文では、
主格→動詞→対格の順に並んでいるのに対して、

セミコロンの後の文では、
対格→動詞→主格の順に並んでいて、

セミコロンの前後の文で、
主格(主語)と対格(目的語)の位置が逆転していることがわかります。

このように、ドイツ語の文では、
英語のように、主語は必ず文頭でなければならないといった名詞の語順関係に縛られることなく、動詞の前後にかなり自由に名詞を配置できることがわかります。

そして、そういった格支配に基づく名詞の語順の自由さに、
英語などの他の言語には見られない、
ドイツ語特有の文法的構造があると言えるわけです。

次回は?

次回以降も、他のドイツ語のZungenbrecher(早口言葉)について、
さらにいろいろとピックアップしてみて、

今回のように、発音・アクセントや和訳、そして文法的構造について検討していきたいと思います。

・典拠
German Tongue Twisters Zungenbrecher
(ドイツ語原文のZungenbrecher(早口言葉)の参照元)

・・・

このシリーズの次回記事:
ドイツ語の早口言葉② ウルムの町とデカルトの炉部屋

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