統計データで見るじゃんけんで最強の初手は?②ゲーム理論と大学の研究データ

前回の、テレビ番組のじゃんけん企画の記録に基づく統計データの分析によると、

サザエさんじゃんけん」の統計データにしたがうと
じゃんけんの初手ではグーを出すのが一番勝率が高い選択。

めざましじゃんけん」の統計データにしたがうと、
じゃんけんの初手ではチョキを出すのが一番勝率が高い選択。

という結果になりましたが、

じゃんけんの統計データについては、テレビ番組の記録データだけではなく、
大学におけるアカデミックな研究データも広く公開されています。

次に、それを見ていきましょう。

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大学の研究データによるとどれが一番勝率が高い初手なの?

2009年に日本経済新聞に掲載された、桜美林大学の芳沢光雄教授による「ジャンケンに関する研究結果」によると、学生たちによる、のべ11567回のジャンケンの結果、それぞれの手の回数は以下のようになったそうです。

グー:4054回、チョキ:3664回、パー:3849回

これをパーセンテージにすると、

グー:35.0%、チョキ:31.7%、パー:33.3%

となり、

パーがチョキより1.6%多く
さらにパーよりもグーが1.7%多いので、

この大学の研究データにしたがうと、

じゃんけんで出る手は一般的にグーが一番多く、したがって、
こちらはパーを出すのが一番勝つ確率が高い

という結論になります。

大学教授の名を冠したアカデミックな研究結果であり、
11567回と試行回数も桁違いに多いので、
現状では、ネット上などの多くで、この研究データに基づいて、
じゃんけんの初手はパーが最強という定説が広く流布しています。

ただ、じゃんけんの初手に出すのが何が最善なのかという、じゃんけんの初手問題の観点から考えると、

この「のべ11567回」の「のべというのが曲者で、

このじゃんけん実験の実際の参加者自体は725人なので、

参加者725人に対して、試行回数が11567回だったということは、
実際の実験では、実験参加者が1人平均16回手を出していたことになり、

はじめの1回をのぞく、あとの15回で出した手は、1回限りの単発勝負としての純粋な初手ではないことになります。

あいこの後や、2回戦目以降で出した手については、双方が前に出した手の影響を受けることになり、
その勝負に限った読み合いや心理戦の要素が強くなってしまうので、
純粋に、個人の性格や気分、手の好みによって決められる初手とは、手の選択のスタンスがずれてきてしまうということです。

また、研究対象が大学の学生ということもあり、
じゃんけんの手を選択している人の年代や性別、職種などの属性に大きな偏りがあるとも考えられるので、

この統計データは、大学の権威ある研究データとはいえ、
こと初手に何を出すのが一番勝率が高い選択なのかという、
じゃんけんの初手問題に関しては
それを結論づける、決定的なデータとまでは言えないように思います。

ただ、逆に言うと、

1人当たり平均で出した手の16回中、純粋な初手とは言えないあとの15回については、あいこや再勝負の時の手の記録ということになるので、

初手ではなく、むしろ、あいこや再勝負時に
勝負が白熱して力がこもってくると、指先まで力がこもって、
グーを出しやすくなる、という解釈は成り立つかもしれません。

つまり、

じゃんけんでグーを出しやすいという法則は、初手というよりは、むしろ、
あいこが連続したり、長期戦でより手や肩に力が入りやすい段階に適用でき、

長期戦で情勢が膠着化してきて、次に出す手に困ったときは、
とりあえずパーを出しておくと勝率が高いかもしれないということです。

通常のじゃんけんについては統計データは三者三様?

以上のように、サザエさんじゃんけん、めざましじゃんけん、そして大学の研究データという3つの統計データに基づいて、
じゃんけんで一番勝率が高い初手を分析した結果、

サザエさんじゃんけん」の統計データにしたがうと、
初手でグーを出すのが一番勝率が高い選択

めざましじゃんけん」の統計データにしたがうと、
初手でチョキを出すのが一番勝率が高い選択

そして、
桜美林大学の芳沢光雄教授による統計データにしたがうと、
初手でパーを出すのが一番勝率が高い選択

ということになり、三者三様、全くバラバラの結論になってしまいました。

結論が三者三様でバラバラということは、結局、
単に統計データからだけでは、一般的にどれが一番勝率が高い手なのか、決めることは難しいということを意味することになります。

しかし、それでも強いて、比較的どの統計データに基づく分析が確度が高いかを決めるとなると、

サザエさんじゃんけんは、アニメのキャラクターなので、出す手を誰がどのくらいの人数で決めているのか不明。

大学の研究データは、試行回数1万回以上のアカデミックな統計データですが、
実験参加人数自体は約700人で、初手に限定した統計データではないので、
個人が初手にどの手を出しやすいかという、じゃんけんの初手問題のデータとしては不適当。

ということを考慮すれば、

こちらのデータも、芸能人やアナウンサー、番組スタッフなど特定の職種にデータが偏っている影響があるかもしれないとはいえ、
初手に限定された統計データであり、ある程度多様な人間による手の選択がおこなわれていると考えられる、
めざましじゃんけんの分析データが比較的確度が高いように思われます。

つまり、

通常のじゃんけんの初手ではチョキを出すのが一般的に一番勝率が高い選択

と考えられるというのが、現段階での暫定的な結論ということです。

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ゲーム理論による「初手はパーが最強」説の逆用とは?

先述のように、世間では、アカデミックな研究データで、

「じゃんけんで出る手は一般的にグーが一番多い」と結論づけられたことが、

そのまま、

「じゃんけんの初手でもグーが出るのが一番多いだろうから、
こちらは初手でパーを出すのが一番勝つ確率が高い」

と解釈され、

じゃんけんの初手はパーが最強という定説が広く流布しています。

しかし、これまでで考察した通り、この研究データは、
あいこの後や再勝負時の手の変遷も含めてデータに算入されているので、
初手に限った統計データとしては必ずしも適当ではありませんし、

公開されているじゃんけんの記録に基づく他の統計データでも、
それぞれ別の異なった結論が出ている点から見ても、十分に確度の高い結論とは言えないと思われます。

したがって、

それ自体はそこまで十分に確度が高い戦略ではないにもかかわらず、そうした戦略が世間に広く流布しているとするならば、

その広く流布している戦略の裏をかいて逆用するというのも、

ゲーム理論(相手の思考・戦略を考慮に入れて自分の行動を決定することで、自分の利益の最大化を図る数学理論)にかなった、

ある程度効果的な戦略と考えられます。

この場合、「じゃんけんの初手はパーが最強」という説が、現状で世間に広く流布しているとするならば、それを逆用して

こちらは、初手にチョキを出して相手を打ち取ろうとする戦略も、ゲーム理論に照らし合わせて合理的な戦略と考えられるということです。

もっとも、このような意味でのゲーム理論を無際限に適用してしまうと、

「相手が初手はパーが最強だと思っているから、こちらはその裏をかいてチョキを出そう」、

「いや、相手はその裏の裏をかいてグーを出してくるから、こちらはその裏の裏の裏をかいてパーを出そう」、

「いやいや、相手はさらにその裏の裏の裏の裏をかいてチョキを出してくるから、こっちはやっぱりグーを出そう」、

と、話が無限に展開してしまい、堂々巡りになってしまうので、

ゲーム理論を適用して相手の裏をかく戦略は、一段階目までにとどめておくのが無難でしょう。

次回は?

いずれにせよ、

通常のじゃんけんの初手では、チョキを出すのが一般的に一番勝率が高い選択

という暫定的な結論は出したとはいえ、

元にする統計データによって、結論が三者三様になってしまったように、
通常のじゃんけんにおける初手の統計データの分析だけでは、
戦略として少し心もとないところがあるのもいなめないので、

目に見えて、じゃんけんの勝率を上げるようなさらなる成果を求めるならば、
より積極的な戦略をとる必要があるでしょう。

そこで、次回からは、そうした、相手の心理的傾向の分析から迫る、より積極的なじゃんけん戦略について考えていきます。

・参考記事

「ジャンケンで勝つ確率を上げる簡単な方法」(桜美林大学の芳沢光雄教授による「ジャンケンに関する研究結果」の参照元)
<http://www.lifehacker.jp/2012/01/120112jankenpon.html>

・・・
このシリーズの次回記事:「心理的傾向の分析で迫るじゃんけんの初手は?③最初はグーの心理的効果

 

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