調停者と裁定者としての巨神兵の姿と火の七日間の本当の意味とは?巨神兵とは何か?②

前回書いたように、アニメ映画版の原作にあたる漫画版の『風の谷のナウシカ』においては、単なる殺戮兵器ではなく、知性と人格を持って自らの意志に基づいて世界に対して審判を下す調停者としての巨神兵の姿が示されていると考えられることになるのですが、

こうした漫画版の『風の谷のナウシカ』のその後の場面においては、ナウシカによってオーマという名を与えられた巨神兵が、さらに、以下のような形で、自らの存在をより明確な形で明かしてしていく場面が出てくることになります。

・・・

ナウシカ「オーマ、あなたは、いったい…………。」

巨神兵「ぼくはオーマ。調停者にして戦士。そして裁定者………。裁きを行う者……。」

ナウシカ「………裁き…!?」

(『風の谷のナウシカ』第七巻、51ページ。)

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調停者と裁定者としての巨神兵の姿と荒々しい兵の神としての本性

そして、さらに、その後の場面では、

土鬼帝国の聖都シュワの墓所に封印されている古代文明の秘術を我が物とし、不老不死の体と絶大な力を手にするために、ナウシカと巨神兵のことを利用しようとしていたトルメキアの二人の皇子たちに対して、

以下のような問答と実力行使を交えていくなかで、巨神兵が実際に裁定を下す場面も描かれていくことになります。

・・・

巨神兵「お前達もいっしょに行きたいのかね?

トルメキアの皇子たち「きょ、巨神がしゃべった!!」

巨神兵「どうした、行きたいのだろう?」

(聖都シュワに何としてもたどり着きたいという欲望を捨てきれないトルメキアの皇子が怯えながらうなずくと、巨神兵はすかさず皇子たちの体をトルメキアの大型軍用機から引き剝がすようにつかみ上げて、宙吊りにしてしまう。)

トルメキアの皇子たち「ち、ちがう。おろしてくれェ。ヒイ。はなせ!!」

巨神兵「本当に離していいのか?

トルメキアの皇子たち「ハ…!!いき、いきます!!

巨神兵「トルメキア兵に告ぐ!!合意の元に裁定が下った。二人の皇子は私と共にシュワへ行く。お前達がこれ以上前進する理由はなくなった。ただちに反転シ家に帰レ自分の家で平和に暮らせ!!

(『風の谷のナウシカ』第七巻、87~88ページ。)

・・・

そして、その後、巨神兵は、

自分の裁定にすぐには従おうとせずに、トルメキア軍の戦艦たちが引き返そうとしないでその場にとどまっているのを見ると、

彼らに向けてすべてを焼き尽くす炎の光を口から放って威嚇し、その絶大なる武力をもってトルメキアの軍勢を追い払ってしまうことになるのですが、

こうした漫画版の『風の谷のナウシカ』において描かれている調停者と裁定者としての巨神兵の姿においては、

「合意の元の裁定」とは言いながら、物事の真相をすべて予め見抜いたうえで、半ば強引な形で自らの論理を押し通し、

一方的に下した自分の裁定に従わない者たちには、容赦なく炎の光を放って滅ぼしてしまうという荒々しい兵(つわもの)の神としての本性も同時に示されていると考えられることになります。

つまり、

世界を焼き尽くす光という絶大な武力を背景としたうえで、議論と合意を重んじて対立する両方の勢力の間の調停を試みはするものの、

互いの合意が得られずに、さらに争いが続くようならば、その絶対的な力を実際に用いることによって、悪しき者であるとの審判が下された勢力の方を滅ぼし、闇へと葬り去ってしまうというのが、

こうした漫画版の『風の谷のナウシカ』において示されている巨神兵と呼ばれる巨大な人工の生命体、あるいは、人の手によって創り出された巨神の本当の役割であると考えられることになるのです。

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火の七日間の本当の意味とは?巨神兵の裁定による正義の戦争の否定

『風の谷のナウシカ』の物語においては、巨神兵は、旧世界のすべてを焼き尽くしてしまった火の七日間と呼ばれる惨劇を引き起こした張本人としても位置づけられていますが、

こうした『漫画版』における調停者と裁定者としての人造の巨神としての巨神兵の姿に基づくと、

火の七日間とは、単なる人間の国家同士の間で繰り広げられた世界最終戦争であったというよりは、

それは、旧世界の人類が自分たちの行く末を、巨神兵という自らが創り出した巨(おお)いなる兵(つわもの)の神の裁定へとゆだねた結果もたらされた惨劇であったとも解釈することができると考えられることになります。

つまり、

こうした火の七日間と呼ばれる惨劇においては、旧世界の人類たちがその終末において、延々と続く争いと戦争に終止符を打つために、

それぞれの勢力が掲げて戦っている正義のうち、いったいどの正義が正しいのか?ということを決めてもらうために、その裁定を巨神兵の力へとゆだねることになったと考えられることになるのですが、

その結果として、火の七日間が引き起こされて、旧世界における戦争の担い手となったどの勢力も後の時代へと生き延びていくことができずに滅びてしまったという結果を見る限り、

結局、そうした巨神兵による裁定のもとでは、人類全体にとって正しい本当の意味での正義の戦争を行っている組織や勢力、国家というものは、世界のうちのどこにも残らなかったということを意味しているとも解釈することができると考えられることになるのです。

・・・

次回記事:オーマという巨神兵の名の由来とは?ケルト神話における戦いの神オグマとダーナ神族との関係、巨神兵とは何か?③

前回記事:巨神兵とは何か?①『風の谷のナウシカ』の映画版と漫画版における巨神兵の位置づけのあり方の違い

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